ABSTRACT 2077(P9-5)
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TNF-alphaの発がん性とがんクローンの解析:藤木博太1, 菅沼雅美1, 岡部幸子1, 末岡栄三朗1, 飯田直幸2, (1埼玉がんセ・研, 2国立精セ)

Transforming activity of TNF-alpha and analysis of its transformant : Hirota FUJIKI1, Masami SUGANUMA1, Sachiko OKABE1, Eisaburo SUEOKA1, Naoyuki IIDA2, (1Saitama Cancer Center Res. Inst., 2Natl. Inst. of Mental Health)

TNF-alphaが生体内の発がんプロモーターであることを見出して以来、TNF-alphaがprogressionやmetastasisに関与する報告も出てきた。私共は、TNF-alpha自身に発がん性があると考え、まず、TNF-alphaのみでBALB/3T3細胞の形質転換誘導させるか検討した。マウス(m)TNF-alphaあるいはヒト(h) TNF-alphaを10 ng/mlの濃度で2週間処理し、5週目に形質転換巣を測定した。Dishあたりの形質転換巣の数は未処理群:0.13に対し、mTNF-alpha処理群:0.92、h TNF-alpha処理群:2.08と明らかにTNF-alphaは形質転換を誘導した。この結果はTNF-alphaが発がん性サイトカインであることを示唆する。次にTNF-alphaで形質転換を誘導した細胞に生じている遺伝子変化、あるいは遺伝子発現の変化を明らかにするため、mTNF-alpha処理群から7クローン、h TNF-alpha群から11クローンを樹立し、これらをTNF-alpha-transformed BALB/3T3 in Saitama (TABS) クローンと名付けた。TABSクローンはすべてヌードマウスに造腫瘍性を、更に、軟寒天コロニー形成能を示した。悪性度の高い3つのTABSクローンをそれぞれBALB/3T3細胞と細胞融合し、悪性形質が優性であるか検討した。その結果、TABS-2とTABS-56の悪性形質は優性を示し、TABS-37は劣性であった。TABS-2と-56から抽出したDNAは、BALB/3T3細胞の形質転換を誘導した。従って、TNF-alphaでがん化した細胞は、活性化されたがん遺伝子が存在すると考え、現在、がん遺伝子の解析を進めている。更に、がん化した細胞におけるサイトカイン遺伝子の発現を検討しているので、その結果も併せて報告する。