ABSTRACT 2083(P9-5)
 ポスターセッション一覧 トップ 


サイトカイン刺激による原癌遺伝子c-fos誘導における情報伝達分子“Hrs”の機能解析:
佐々木義輝、菅村和夫(東北大・医・免疫)

Functional analysis of Hrs, a signal transducing molecule, in the induction of c-fos proto-oncogene by cytokine stimulation .: Yoshiteru SASAKI, and Kazuo SUGAMURA (Dept. Microbiol. and Immunol., Tohoku Univ. Sch. Med.)

(目的)昨年の本学会で、我々は新規情報伝達分子Hrsの構造、機能について発表したが、そのなかで原癌遺伝子c-fosの発現誘導に関与していることを報告した。今回は、そのメカニズムについて詳細な解析を行った。(方法・結果)BAF-B03細胞に野生型Hrsまたは変異体をヒトIL-2受容体、c-fosプロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を連結したものを、一過性に発現させ、IL-2刺激によるルシフェラーゼ活性を測定した。野生型Hrsはルシフェラーゼ活性を有意に上昇させることが分かった。次にc-fosプロモーターの個々のエレメントの点変異体及び個々のエレメントをTATA boxに連結したものを作成しHrsの効果がどのエレメントに効いているかを解析した。その結果、Hrsは、SRE、FAP、CREのエレメントに対して増強効果が認められた。さらに、Hrsと他の分子との関係を調べるために優性抑制型Ras及び活性型Rasを共発現しその影響を調べたところ、優性抑制型Rasによって増強効果は抑制され、また活性型Rasの効果を増強したことから、Hrsはc-fos誘導においてRasの下流に存在していることが示唆された。(考察)Hrsは、IL-2刺激によるc-fos誘導においてRasの下流に存在し、SRE、FAP、CRE等の活性化に関与していることが示唆された。