ABSTRACT 2085(P9-5)
 ポスターセッション一覧 トップ 


STAT3による直接的c-myc遺伝子活性化とその役割;中嶋弘一1,木内庸雄2,市場誠2,成松雅博2,水野克典2,深田俊幸2,平野俊夫21 大阪市大医・免疫,2阪大医・バイオセ・腫瘍病理)

Direct activation of the c-myc gene through STAT proteins: Koichi NAKAJIMA1, Nobuo KIUCHI2, Makoto ICHIBA2, Masahiro NARIMATSU2, Katsunori Mizuno1, Toshiyuki Fukada2, Toshio HIRANO2(1Dept. of Immunol. Inst. Geriatrics and Med. Sci. Osaka City Univ. Med. Sch.,2Dept.of Mol. Oncol., Biomed. Res.Ctr, Osaka Univ.Med.Sch.)

インターロイキン6 (IL-6)は、免疫系、造血系、肝などの細胞増殖や分化制御に重要なサイトカインである。IL-6による細胞増殖、分化、細胞死の決定においてはJak-STAT伝達系、とくにSTAT3を介するシグナル伝達系が重要である。これまで、STAT3が、IL-6によるM1白血病細胞の増殖停止、マクロファージへの分化ばかりでなく、gp130シグナルによるBaF細胞の生存増殖にも必須であることを示してきた。また、junB、IRF1、p19INK4D、Stat3遺伝子そのものがSTAT3標的遺伝子あることを報告してきた。今回、BaF細胞、HepG2細胞などでみられるgp130 シグナルによるc-myc 遺伝子活性化機序を詳細に検討したところ、 gp130シグナルによるc-myc発現誘導が、主にSTAT3依存的におこることを見い出した。このc-myc遺伝子活性化は、遺伝子プロモーターレベルでおこり、c-mycプロモーター活性化に重要とされるE2Fを介してではなく、STAT3の直接の作用によることを明らかにした。これらの結果は、c-myc遺伝子もまたSTAT3の直接の標的遺伝子となること、細胞によっては、gp130シグナルによる細胞周期進行の機序のひとつに、STAT3によるc-myc 遺伝子活性化が重要なものとして作用する可能性を示している。