ABSTRACT 2087(P9-5)
骨髄血管内皮細胞における造血前駆細胞に対する遊走因子産生:今井陽俊1、小林正伸1、浜田淳一2、守内哲也2、細川真澄男1(1北大・医・癌研病理、2癌研細胞制御)
Production of chemoattractants for hemopoietic progenitor cells in bone marrow endothelial cells : Kiyotoshi IMAI1, Masanobu KOBAYASHI1, Jun-ichi HAMADA2, Tetuya MORIUCHI2, and Masuo HOSOKAWA1 (1Lab. of Pathol., 2Lab. of Cell Biol., Cancer Inst., Hokkaido Univ. Sch. of Med.)
【目的】造血幹細胞が骨髄に特異的に定着する機序を解析する目的で、骨髄血管内皮細胞および肺血管内皮細胞における造血前駆細胞遊走刺激因子の産生を検討した。
【方法】(1)SV40 large T antigenをtransfectして得られた骨髄血管内皮細胞株STR-4、STR-10、STR-12および肺血管内皮細胞株を用いた。(2)正常造血前駆細胞、FDCP-2に対する遊走刺激活性は、transwell chamberを用いて検討した。(3)SDF-1や各種サイトカインのmRNA発現をRT-PCR法にて検討した。
【結果】(1)STR-4、STR-10、STR-12は、正常造血前駆細胞、FDCP-2に対する遊走刺激因子を産生していたが、肺血管内皮細胞株は産生していなかった。(2)checkerboard analysisによると、骨髄血管内皮細胞株はchemoattractantとrandom motility stimulating factorを産生していた。(3)STR-4、STR-10、STR-12はSDF-1 mRNAを発現していたが、肺血管内皮細胞株は発現していなかった。(4)骨髄血管内皮細胞株の遊走刺激活性は、抗SDF-1抗体によって抑制された。
【考案】骨髄血管内皮細胞が造血前駆細胞に対する遊走刺激因子を産生していること、遊走刺激因子が主にSDF-1であることが示された。