ABSTRACT 2088(P9-5)
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サイトカイン活性阻害物質、madindoline (MDLs) の作用機序について:小宮山 寛機, 林 正彦,  大村 智(北里研)

Inhibitory mechanism of cytokine inhibitor, madindoline (MDLs) : Kanki KOMIYAMA, Masahiko HAYASHI, Satoshi OMURA (The Kitasato Institute)

【目的】多機能性サイトカインであるIL-6は生体の恒常性維持を担っているが、一方では癌性悪液質、多発性骨髄腫、ホルモン依存性骨粗鬆症の重要な因子となっている。それ故、IL-6阻害物質はこれら難治性慢性疾患の治療薬として期待されている。本研究では微生物代謝産物より得られた madindoline (MDL) の各種サイトカイン活性に対する作用とその作用機序について検討した。
【方法】IL-2活性に対する効果はCTLL-2細胞の増殖を指標に、同様に、IL-3、G-CSF活性はBaf/GCSFR-gp130キメラ細胞の増殖、IL-4活性はCD23の発現、IL-8活性は好中球の化学走化性、TNF活性はU937細胞とL929細胞の増殖抑制の回復、NGF活性は神経様細胞の分化、IL-11活性は破骨細胞への分化等に対する効果について検討した。一方、IL-6活性はMH60細胞の増殖、M1細胞のマクロファージへの分化、骨芽細胞の破骨細胞への分化、PC12細胞の神経様細胞への分化、さらに3T3L1細胞の脂肪細胞への分化について検討した。
【結果及び考察】 MDL-Aは50μg/mlの濃度においてもIL-2、IL-3、G-CSFによる細胞増殖、IL-4によるCD23の発現、IL-8の化学走化性、TNF活性及びNGFやIL-11の分化は抑制しなかった。しかしながら、IL-6により誘導される細胞増殖や分化誘導反応は10μg/mlのMDL-A処理によりほぼ完全に抑制された。さらに、IL-11により誘導される脂肪細胞や骨芽細胞への分化も抑制された。これらの結果はMDL-AがIL-6リセプターとIL-11リセプターの共通サブユニットであるgp130に作用していることを示唆している。