ABSTRACT 2110(P10-1)
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CT・MR画像よりみた悪性胸膜中皮腫の発育・進展経路と臨床病期ー病理像との対比ー:中野孝司,戸川直樹,二宮浩司,前川美穂,外村篤志,三宅光富,山本徹也,波田寿一,東野一彌(兵庫医大3内)

MRI and CT for the evaluation of the process of extensionand clinical stage in patients with malignant pleural mesothelioma : Comparisons with their findings and histopathological appearances: Takashi NAKANO, Naoki TOGAWA, Koji NINOMIYA, Miho MAEKAWA, Atsushi TONOMURA, Mitsutomi MIYAKE, Tetsuya YAMAMOTO, Toshikazu HADA, Kazuya HIGASHINO (3rd Dept. of Int. Med., Hyogo College of Medicine)

〔目的〕極めて予後不良の悪性胸膜中皮腫の発育・進展経路は充分に解析されていない。治療成績向上のためには的確な病期診断と発育進展経路の予測を行い、それらを基にした新たな治療戦略の立案が必要である。近年、臨床画像診断技術の進歩により多くの情報を得ることが可能となった。これらの画像情報と肉眼像、病理像を対比させ、悪性胸膜中皮腫の発育・進展経路、臨床病期に関して検討した。〔対象および方法〕対象はびまん性悪性胸膜中皮腫32例であり、発症からの経時的CT・MR画像と手術所見、胸腔鏡所見、胸膜生検所見、剖検時肉眼所見、および、病理組織所見とを対比した。〔結果および結論〕(1)人口気胸下CTにより極めて早期(T1a)の壁側胸膜散布性粒状腫瘤の描出は可能であり、これは臓側胸膜腫瘤(T1b)の識別にも役立つ(2)大量の胸水貯留は病初期に見られ、病期が進行すると胸水は減少し腫瘤形成が主体となる(3)初発時の胸水貯留から4〜6週で腫瘍は葉間胸膜を含む全周性の胸膜肥厚を呈するまでに発育する(T2)(4)横隔膜筋層浸潤(T2)のCT診断は難しいが、MRIT1強調での診断は可能である(5)病期の進行に伴い腹腔浸潤を来す様になるが、それには(a)腹部大動脈壁に沿って進展し横隔膜を越え腹腔に達する経路(b)横隔膜筋層に直接浸潤し穿破・進展する経路(c)横隔膜背側弓状靭帯から腰筋に沿って進展する経路、の3路がある。最も多いのは(c)である(6)胸腔穿刺部位に高率に腫瘍のimplantationが見られ、これは比較的早期に認められる(7)肺実質への直接浸潤(T2)のCT画像はairbronchogramを伴う実質パターンである。