ABSTRACT 2114(P10-2)
胃癌における非治癒因子と術前の腫瘍マーカー値との関連性についての検討:
荒井邦佳、北村正次、岩崎善毅(都立駒込病院外科)
Relationship between non-curative factors and preoperative level of tumor markers in gastric carcinoma : Kuniyoshi ARAI, Masatsugu KITAMURA, Yoshiaki IWASAKI (Dept. of Surgery, Tokyo Metropolitan Komagome Hospital )
【目的】胃癌の非治癒因子を術前の腫瘍マーカー値(TM)から推測可能か否か検討した。
【対象と方法】術前にAFP,CEA,CA19-9,CA125のすべてを測定した胃癌切除531例を対象とした。非治癒因子は、P(+),H(+),切除不能なT4,N4の4因子とした。対象例における非治癒因子合併例は90例であった。
【結果】1種類以上のTM高値例では非治癒因子の合併頻度が32%であったのに対し、2種類以上の高値例では49%と上昇した。一方、非治癒因子合併例のうちTM高値例は73%であり、CEA>CA125>CA19-9>AFPの順に頻度が高かった。術前診断が困難なP(+)例(単独転移例での検討)ではCA125が最も鋭敏であったが、その頻度は44%に過ぎなかった。
【結論】術前に非治癒因子の合併を腫瘍マーカー値だけで予測することは困難であるが、複数のマーカー値を組み合わせることで精度の向上が期待できる。