ABSTRACT 2116(P10-2)
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ヒト肝臓癌におけるCSADの発現と抗CSAD自己抗体産生:○岸本利彦1, 久保圭子2, 沖田極2, 佐々木功典31住友電工・BM研, 山口大・医・1内科2, 2病理3

Expression and its autoantibody production of Cystein sulfinic acid decarboxylase in human HCC : T. KISHINMOTO1, K. KUBO2, K. OKITA2, and K. SASAKI3 (1BM Lab., Sumitomo Electric Industries, LTD, 2Dept. of Int. Med., 3Dept. of Pathol., Yamaguchi Univ. Sch. Med.)

ラットシステイン酸脱炭酸酵素(CSAD)は、ラット肝臓癌において特異的に発現が誘導され、しかも初期肝臓癌よりCSADに対する自己抗体がその血液中に産生されることがこれまでの研究により明らかとなっており、新たな肝臓癌マーカー候補と考えられている。今回我々は、ヒト肝臓癌においても同様に、CSADの発現誘導、および血液中での自己抗体の産生がおこっているかを調べることを目的とし、抗CSAD抗体による肝臓癌組織染色により、CSADの肝臓癌での発現状態、組み換えヒトCSAD蛋白質を用いたELISAにより、ヒト肝臓癌患者の血液中での抗CSAD自己抗体の存在を検討した。その結果、抗CSAD抗体による組織染色において肝臓癌部での特異的なCSADの高発現を確認した。またCSAD蛋白質を用いたELISAでは、約16%の肝臓癌患者で抗CSAD抗体が陽性となり、約16%の患者で弱陽性として検出された。現在、肝炎患者、肝硬変患者の血液中にも自己抗体の産生が認められる例があること、免疫応答力の個体差等の理由より、現在抗原となる血液中のCSAD蛋白質の直接検出を検討している。