ABSTRACT 2117(P10-2)
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新しい高感度PIVKA-II測定法の開発とその臨床的有用性:小島清孝,立花清司,黒木政秀第一ラジオアイソトープ研究所,福岡大・医・1生化)

Establishment of a highly-sensitive assay for PIVKA-II and its clinical utility:Kiyotaka KOJIMA1,Seiji TACHIBANA1,Masahide KUROKI2(1Daiichi Radioisotope Labs.,LTD.,21st Dept.of Biochem.,Sch.of Med.,Fukuoka Univ.)

[目的] PIVKA-IIとはプロトロンビン前駆体にある10個のGluの内、1〜10個がβ-カルボキシル化を受けずにGlaとして産生されてくる異常プロトロンビンである。このPIVKA-IIは肝細胞癌の腫瘍マーカーとして最近広く測定されている。今回、PIVKA-IIに対する新しいモノクローナル抗体(MAb)を作製し、高感度測定系を開発することを目的とした。[方法] MAbはPIVKA-IIのGla領域の一部に相当する11-35位ペプチド-BSAあるいは脱カルボキシル化プロトロンビン(DCP)をマウスに免疫して作製した。得られた抗体の中からサンドイッチ法における高感度測定法に適した2つの抗体の組み合わせを検討した。さらに、本測定法を用いて健常人50例、肝硬変52例、慢性肝炎49例、および肝細胞癌84例の患者血清を測定した。[結果・考察] PIVKA-II(11-35)免疫群より13クローンのPIVKA-II特異抗体が得られ、これらの中で14-7抗体が固相化に適していた。一方、DCP免疫群からは82クローンが得られ、その中からプロトロンビンと反応する抗体の一つである10-27抗体を125-I標識抗体とした。開発したPIVKA-II測定系の最小検出感度は10 mAU/mLで、肝細胞癌に対する臨床的感受性は54.8%、臨床的特異性は93.1%といずれも従来のキットより優れていた。以上より、本測定系は肝細胞癌の診断や経過観察においてより有用性が高いと思われた。