ABSTRACT 2119(P10-2)
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hnRNPA2/B1蛋白質を指標とした肺がんの早期診断法の開発:末岡栄三朗1, 後藤有里1,3, 末岡尚子1, 甲斐康子1, 得地令郎1, 神津知子1, 山本光伸2, 千葉博茂3, 土屋永寿1, 藤木博太11埼玉がんセ, 研, 2埼玉がんセ, 病, 3東京医大)

An approach for early detection of lung cancer using hnRNPA2/B1 protein as a tumor marker: Eisaburo SUEOKA1, Yuri GOTO1,3, Naoko SUEOKA1, Yasuko KAI1, Yoshio TOKUCHI1, Tomoko KOZU1, Mitsunobu YAMAMOTO2, Hiroshige Chiba3, Eiju TSUCHIYA1, Hirota FUJIKI1 (1Saitama Cancer Ctr. Res. Inst., 2Saitama Cancer Ctr. Hosp., 3Tokyo Medical Univ.)

hnRNPA2/B1蛋白質はスプライソゾームの構成成分であり、肺がん細胞で過剰発現する。この性質を利用し、hnRNPA2/B1蛋白質は肺がんの診断に応用されている。私共は、hnRNPA2/B1蛋白質に対する抗体を作成し、肺がんの早期診断の可能性について検討した。肺がん患者の手術標本のがん部と非がん部からRNAを抽出し、hnRNPA2/B1 mRNAの発現について解析した。9例中7例(78%)のがん部において、hnRNPB1 mRNAの発現亢進が認められ、肺がんとの関連性が示唆された。また11種類のヒト肺がん細胞株すべてにhnRNPA2/B1 mRNAの発現が強く認められたが、発現量と組織型の間に相関は認められなかった。次に、hnRNPA2/B1蛋白質の共通部分に対する抗体(A2/B1抗体)とB1蛋白質特異的部分に対する抗体(B1抗体)を作成した。ヒト肺がん細胞株において、A2/B1抗体は34 kDaと37 kDa、B1抗体は37 kDaの蛋白質を特異的に認識した。34 kDaと37 kDaの蛋白質はそれぞれhnRNPA2およびB1蛋白質と考えられ、ともに核分画に存在した。現在、肺がん患者組織におけるhnRNPA2/B1蛋白質の発現異常の有無について、免疫組織学的染色法による検討を行っており、肺がんの早期診断への有用性について報告する。