ABSTRACT 2120(P10-2)
膀胱癌における組織p53蛋白と血清抗p53抗体との関連:森田辰男,徳江章彦(自治医大・泌)
Relationship between tumor p53 protein and serum anti-p53 antibodies in bladder cancer : Tatsuo MORITA , Akihiko TOKUE ( Dept. of Urol. , Jichi Medical School )
膀胱癌におけるp53遺伝子の異常あるいはp53蛋白の過剰発現は多くの報告で確認されており、それらの異常は予後とも関連することが報告されている。一方、最近、血清抗p53抗体の測定が可能となり、悪性腫瘍患者の血清中に抗p53抗体が存在することが報告さている。今回、われわれは、膀胱癌組織におけるp53蛋白の発現と血清抗p53抗体レベルを測定し、それらの関連、臨床病理学的因子との関連を検討した。[対象と方法]原発性膀胱癌のパラフィン切片を抗ヒトp53抗体を用いて免疫染色した。治療前の膀胱癌患者から得られた血清を凍結保存し、融解後、ELISAにて血清抗p53抗体を測定した。[結果および結論]血清抗p53抗体陽性例は80例中10例(12.5%)であった。また、組織p53蛋白陽性例は80例中53例(66.2%)であった。血清抗p53抗体陽性例はhigh stage群あるいはhigh grade群に認められた。血清抗p53抗体陽性例は、すべて組織p53蛋白陽性例であった。生存分析では、血清抗p53抗体陽性例は陰性例に比べ有意に予後が不良であった(logrank test )。