ABSTRACT 2124(P10-2)
胃癌腹腔内洗浄液中のCEAと細胞診:藤井 真、名川弘一、佐々木 慎、瀬戸泰之、富永 治、甲斐崎祥一、津野ネルソン、梅谷直亨、北山丈二、武藤徹一郎(東大・医・外)
Cytodiagnosis and Carcinoembryonic Antigen (CEA) of peritoneal lavages in patients with gastric carcinoma: Shin FUJII, Hirokazu NAGAWA, Shin SASAKI, Yasuyuki SETO, Osamu TOMINAGA, Shoichi KAISAKI, Nelson TSUNO, Naoyuki UMETANI, Joji KITAYAMA, Tetsuichiro MUTO (Dept. of Surgical Oncology, Univ. of TOKYO)
【目的】 腹腔内洗浄液中の細胞診とCEA mRNAの検出により肉眼で確認されない腹膜播種の検出能を検討した。以下、腹膜播種=P。【対象と方法】 H7.5からH9.12まで当科で開腹した胃癌症例59例。 開腹直後生理食塩水200mlを膀胱直腸窩または子宮直腸窩に注入しその回収液の細胞診およびCEA mRNAのRT-PCRをおこなった。【結果】 細胞診を施行した48例中class4または5であったものは10例、そのうち開腹時肉眼的P陽性例は7例、P再発したものは1例であった。class1であったものは38例、そのうち開腹時肉眼的P陽性例は2例、P再発したものは5例であった。全59例中CEA 陽性であった症例は25例,そのうち開腹時肉眼的P陽性例は11例、P再発したものは6例であった。CEA陰性であったものには、開腹時肉眼的P陽性所見,P再発とも認めなかった。【まとめ】以上を要約すると腹腔内の癌細胞検出に対する細胞診のsensitivityは80%, specificityは82%であった。CEA mRNAのsensitivityは68%, specificityは100%であった。CEA陽性で開腹時肉眼的P陽性所見,P再発とも認めなかった8症例のうち2例は細胞診class5で、1例はSMV周囲リンパ節再発、1例は肝転移再発をした。【結論】 腹腔内洗浄液中のCEA mRNAのRT-PCRによる検出は肉眼で確認されない腹膜播種を検出する意味で有用と考えられた。