ABSTRACT 2126(P10-2)
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Human thrombospondin-1 に対するIgG モノクローナル抗体の作製:別府理智子1, 荒川文子1, 山本貴文1, 富田能弘1, 黒木求1, 山下裕一2, 白日高歩2, 黒木政秀11福岡大・医・1生化, 2同・2外科)

Generation of IgG monoclonal antibodies to human thrombospondin-1 (TSP-1): Richiko BEPPU1, Fumiko ARAKAWA1, Takafumi YAMAMOTO1, Yoshihiro TOMITA1, Motomu KUROKI1, Yuichi YAMASHITA2, Takayuki SHIRAKUSA2, and Masahide KUROKI1 (1first Dept. of Biochem., 2socond Dept of Surg., Sch. of Med., Fukuoka Univ.)

(目的)Thrombospondin-1(TSP-1)はもともと血小板が産生する分子量約450 kDaの糖蛋白として報告されたが,現在では繊維芽細胞,血管内皮細胞など種々の細胞での産生が知られている.またその細胞接着作用や細胞増殖活性により癌の浸潤や転移との関連が指摘されるとともに,いくつかの癌腫瘍マーカーとしての意義も報告されている.我々はTSP-1に対する3種のIgM抗体を前回の本学会で発表した.今回各種の実験や測定系に利用しやすいIgG抗体の作製を試みたので報告する.
(方法)ヒト血小板を洗浄後,カルシウムイオノフォア刺激で放出されたTSP-1をfibrinogen及びheparin affinity columnで精製した.精製TSP-1 20μgでBALB/cマウスを免疫し,5週後追加免疫して3日後の脾臓を採取した.モノクローナル抗体作製キットを用いて脾細胞とマウス骨髄腫細胞SP2/0の融合によりhybridomaを作製しクローニングした.
(結果・考察)得られた約600 cloneのhybridomaを検索した.ヤギ抗ヒトTSP-1抗体を96-well plateに固相し,精製したTSP-1を反応させてTSP-1 plateとした.TSP-1 plateにhybridomaの培養上清を反応させ,ビオチン化抗マウスIgG抗体でスクリーニングした結果,IgG1抗体4種とIgG3抗体3種が得られた.これらの抗体とTSP-1との反応をWestern blottingにて確認したところ,分子量約45万のTSP-1との反応が確認され,腫瘍マーカーとしてのTSP-1の解析に有用と思われた.