ABSTRACT 2175(P11-1)
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乳癌組織における癌細胞数と予後について: 田中完児, 川西 洋, 日置紘士郎(関西医大・第二外科)

The total number of cancer cells as a prognostic factor in breast cancer tissue: Kanji TANAKA, Hiroshi KAWANISHI, Koshiro HIOKI (2nd Dept. of Surg. Kansai Med Univ.)

(目的)乳癌患者における予後決定因子として、腫瘍径・リンパ節転移・組織学的腫瘍悪性度等を含む種々の因子についての報告が既になされている。今回我々は、腫瘍組織内における癌細胞総数の予後因子としての意義について検討を行った。(材料と方法)原発性乳癌93例を対象に、手術時採取されたこれらの腫瘍組織の最大径にて割面を作製し、ホルマリン固定・薄切後にH-E染色を行った。この後、切片を顕微鏡下にて観察を行い、point-counting methodにて腫瘍組織内の癌細胞/癌細胞+非癌細胞の比を算出し、これに体積を積算し仮想総癌細胞数を求めた。(結果)1.総癌細胞数は、単変量解析にて予後と有意な関連を示し、総癌細胞数が増加するに従って生存率ならびに健存率の低下を認めた。2.総癌細胞数を腫瘍径・リンパ節転移度・組織学的腫瘍悪性度等を含む種々の臨床病理学的因子とともに多変量解析を行った結果、総癌細胞数は有意な予後決定因子とはなり得なかった。この場合、腫瘍径・リンパ節転移度・組織学的腫瘍悪性度がより重要な因子であることが示された。3.今回検索を行った93例についても腫瘍径と予後との間に有意な相関が認められた。(まとめ)腫瘍組織内の総癌細胞数は、予後の決定または予測因子としての意義はあるものの、他の因子と比較した場合、その重要性は低いものであった。