ABSTRACT 2176(P11-1)
乳癌におけるthymidine phosphorylase活性の予後因子としての意義:大崎昭彦1,大井裕子1,村上 茂2,峠 哲哉1(1広島大・原医研・腫外2九州がんセ・乳腺部)
Prognostic significance of thymidine phosphorylase activity in breast cancer : Akihiko OSAKI1, Yuko OHI1, Shigeru MURAKAMI2, Tetsuya TOGE1 (1Dept. Surg. Oncol., Res. Inst. Rad. Biol. Med., Hiroshima Univ., 2Dept., Breast Surg., Natl. Kyushu Cancer Ctr. )
【目的】乳癌におけるthymidine phosphorylase(dThdPase)の予後因子としての意義を明らかにする目的で,dThdPase活性を測定し,臨床病理学的因子との相関性,健存率および生存率との関連を検討した.【対象と方法】対象は,1987年から1991年の間に当科で,乳房切除術を施行したStage0〜StageIVの乳癌患者93例で,dThdPase活性の測定はELISA法にて行った.【結果】dThdPase活性のrangeは5.9〜1135.4 U/mg protein であり,中央値104.2 U/mg protein(平均143.9 U/mg protein)であった.dThdPase活性値により症例を100U/mg proteinをcut offにして2群に分け,臨床病理学的因子との相関性を検討すると,年齢,腫瘤径,ER,組織学的リンパ節転移に分布の差は認められなかった.また,健存率,生存率いずれも2群間に有意差は認められなかった.【結論】乳癌においてdThdPase活性は,他の臨床病理学的因子との相関性はなく,単独では独立した予後因子とは言えなかった.