ABSTRACT 2178(P11-1)
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下咽頭癌におけるp53, waf1, Rb, bcl-2, baxによる予後因子の検討:家根旦有1, 内藤宏昌1, 太田一郎1, 宮原裕1, 松永喬1, 日浅義雄2, 大西武雄3(奈良医大・1耳, 22病, 3生物)

Prognostic value of p53, waf1, Rb, bcl-2, and bax in hypopharyngeal carcinomas: Katsunari YANE1, Hiroaki NAITO1, Ichiro OTA1, Hiroshi MIYAHARA1, Takashi MATSUNAGA1, Yoshio HIASA2, Takeo OHNISHI3 (1Dept. of Otolaryngol., 2 2nd Dept. of Pathol.,3Dept. of Biol., Nara Med. Univ.)

[目的]下咽頭癌は頭頸部癌の中では予後不良の癌であり、その予後を知ることは治療法の選択において有用である。そこで今回、細胞制御において重要な遺伝子であるp53を中心として、その関連する遺伝子であるwaf1、 Rb、bcl-2、baxの予後因子としての有用性について検討した。[方法]下咽頭癌29例の治療前の生検材料を用い、PCR-SSCPおよびdirect sequenceによるp53遺伝子解析(エクソン5-9)、免疫染色法によるp53、waf1、 Rb、bcl-2、bax蛋白の発現を検討した。[結果]p53点突然変異は9症例で10カ所に認め、1例は4bpの欠損を認めた。p53陽性率は14/29(48%)で、waf1陽性率は19/27 (70%)、Rbは全例陽性であったが強陽性は19/25(76%)であった。またbcl-2陽性率は7/26(27%)、bax陽性率は20/26 (77%)であった。p53の発現とwaf1、 Rb、bcl-2、baxの発現には関連は認められず、各々の発現にも関連はなかった。Kaplan-Meier法による生存率の検討では、p53免疫染色で陽性であった症例が有意に予後不良であった。しかし、p53遺伝子変異、waf1、 Rb、bcl-2、bax蛋白発現は予後との関連を認めなかった。[結語]下咽頭癌においてp53遺伝子変異、waf1、 Rb、bcl-2、bax蛋白発現は臨床的意義を持たなかったが、p53免疫染色による評価のみ予後因子として有用であった。