ABSTRACT 2179(P11-1)
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予後不良甲状腺癌の検討: 臨床的特徴とヘテロ接合性消失(LOH)の解析: 北村裕1,2, 清水一雄2,, 伊藤公一3,, 田中茂夫2 , 江見充1 (1 日本医大・老研, 2 2外,3, 伊藤病院)

Characteristics of thyroid carcinoma with poor prognosis: Clinical features and loss of heterozygosity analysis: Yutaka KITAMURA1,2, Kazuo SHIMIZU2, Koichi ITO3,, Shigeo TANAKA2, Mitsuru EMI1 (1Dept.Mol.Biol., Inst. Gerontol.,2Surg.(II), Nippon Med.Sch.,3, Ito Hosp.)

[背景・目的] 甲状腺癌の約95%を占める甲状腺分化癌は比較的予後良好であるが, 約10%は再発や遠隔転移を来たし死亡する。甲状腺癌の予後不良因子の解明は, 未分化転化の理解に加え, 予後良好, 不良例に応じた適切な治療の選択に役立つ。これまでの臨床組織学的, 分子生物学的検討では, 年齢, 甲状腺外浸潤, 低分化組織所見, p53遺伝子変異以外の予後関連因子は明らかではない。また甲状腺癌の低い発生頻度, 低死亡率, 緩徐な発育のため, 多くの予後不良症例の検討は困難であった。[方法] 我々は予後不良甲状腺癌の特徴を捕えるため, 161例の甲状腺癌死亡症例を対象に臨床病理学的特徴を検討するとともに, 手術標本よりDNAを抽出しLOH解析を行った。[結果・考察] 死亡時組織型は未分化癌99例, 分化癌62例(乳頭癌46例, 濾胞癌16例 ), 女/男比は3.4, 死亡時年齢は66歳, 初診時年齢は61.3歳, 経過は未分化癌6ヵ月, 分化癌95ヵ月であった。初回治療時に甲状腺外浸潤を90.4%, 径40 mm以上の腫瘍を87.7%, 遠隔転移を27%に認め, 報告された臨床的予後不良因子に一致した特徴を示した。また手術標本が利用可能な約100症例においてparaffin包埋組織切片より腫瘍・非腫瘍組織DNAを抽出し, 第1-22番各染色体短腕, 長腕上から選定したmicrosatellite markerを用いてLOHを検討した。これまでに乳頭癌で我々の予備的な検討(1p,1q,2p,2q,3p,11p,17p,20pで0-20%)と同様な低頻度のLOHが, 濾胞癌で2p,2q,3p,10q, 11qで比較的高頻度のLOHが検出されたが, 今回検討中の甲状腺癌死亡症例では17p13で約40%と高頻度のLOHを示しており, さらに領域を増やして検討したい。