ABSTRACT 2180(P11-1)
食道扁平上皮癌におけるp27(Kip1) 発現の免疫組織学的検討:中村 努,井手博子,江口礼紀,林 和彦,高崎 健(東京女子医大・消化器セ・外)
Immunohistological study of p27 (Kip1) expression in esophageal squamous cell carcinoma: Tsutomu NAKAMURA, Hiroko IDE, Reiki EGUCHI, Kazuhiko HAYASHI, Ken TAKASAKI ( Dept. of Surg., Inst. of Gastroenterology, Tokyo Women's Med. Univ. )
[目的] 食道扁平上皮癌においてCyclin D1発現が予後因子となることを報告してきたが,その機序は十分解明されていない.そこで今回Cyclin D1-CDK4を抑制するp27と臨床病理学的因子およびCyclin D1, p16, p21の関係を検討したので報告する.
[方法] 1990-96年に切除された術前未治療の食道扁平上皮癌75例を対象とした.方法はパラフィン包埋切片を抗p27抗体(G173-524)を使用しLSAB法で免疫染色し,癌巣の50%未満が染色されない症例を発現減弱(-)とした.
[結果] p27は75例中36例(48%)が発現減弱していた.p27発現は深達度・リンパ節転移とは関係なく,低分化型にp27発現減弱例が多い傾向にあった.p27発現とCyclin D1発現との関係はなく,またp21, p16発現との関係もなかった.p27発現の有無による生存率の差はなかったが,p27発現減弱例で低い傾向にあった.
[結語] 食道扁平上皮癌においてp27発現減弱は臨床病理学的因子・Cyclin D1発現共に特定の傾向はなかった.