ABSTRACT 2181(P11-1)
食道扁平上皮癌における Heat shock protein (HSP) 27 、70 発現の検討:川西賢秀、塩崎 均、土岐祐一郎、先田 功、井上雅智、矢野雅彦、辻仲利政、門田守人 (阪大・医・2外)
Expression of Heat shock protein 27 and 70 in human esophageal squamous cell carcinoma : Kensyu KAWANISHI, Hitoshi SHIOZAKI, Yuichiro DOKI, Isao SAKITA, Masatoshi INOUE, Masahiko YANO, Toshimasa TSUJINAKA, Morito MONDEN (Dept. of Surg 2., Osaka Univ. Sch. Med.)
《目的》腫瘍免疫への関与が示唆されている、ストレス蛋白質(HSP27、70)のヒト食道扁平上皮癌組織での発現性を検討することにより、食道癌の進展、予後に対する関係を検討した。《対象/方法》術前未治療の食道扁平上皮癌切除症例102例が対象。パラフィン包埋切片において、抗HSP27、70 monoclonal抗体を用いた免疫組織染色法(ABC法)にて両者の発現を検討した。《結果》 1) HSP27の発現とHSP70の発現との相関。HSP 27、70の発現はそれぞれ、(+)39、14例、(±)53、57例、(-)10、31例であり、61例で同一の発現性であり [(+)/(+)14例、(±)/(±)37例、(-)/(-)10例] 有意な相関関係にあった(p<0.0001)。2) HSPの発現と病理学的因子との相関。HSP陰性例はリンパ節転移陽性例に有意に多かった。3) 予後因子としてのHSP。HSP27、70ともに陰性例の予後は有意に不良で(p<0.001)、多変量解析による検討ではHSP27陰性例は、深達度t4とともに独立した予後因子であった。(p<0.0017, Hazard Ratio: 3.908)《考察》HSP27、70の陰性例は極めて予後不良であり、食道扁平上皮癌の悪性度評価に有効であると考えられた。