ABSTRACT 2182(P11-1)
胃癌におけるANNEXIN II 発現と臨床病理学的因子との関係について:江本宏史,渡辺明彦,澤田秀智,山田行重,辰巳満俊,阪口晃行,藤本平祐,成清道博,平尾具子,中野博重(奈良医大・1外)
An expression of Annexin II assosiated with clinicopathological factor in human gastric cancer : Kouji EMOTO, Akihiko WATANABE, Hidetomo SAWADA, Yukishige YAMADA, Mitsutoshi TATSUMI, Teruyuki SAKAGUCHI, Heisuke FUJIMOTO,Michihiro NARIKIYO,Tomoko HIRAO, Hiroshige NAKANO(1st. Dept. of Surgery, Nara Med. Univ.)
(目的)ANNEXIN II は、Ca依存性に結合するリン脂質蛋白で、その機能については細胞内シグナル伝達に関与していると想定されており、細胞の分化・増殖や発癌との関連が報告されている。ヒト癌組織におけるANNEXIN II の発現は、大腸、肝臓、膵臓、肺で報告されているが胃癌での検討は認めない。今回、我々は、胃癌におけるANNEXIN II の発現について検討した。(対象と方法)ヒト胃癌細胞株8株についてWestern blotting法によりANNEXIN II の発現を検討した。また、胃癌標本104例に対し、免疫組織染色(SAB法)を行った。(成績)胃癌細胞は8株すべてにANNEXIN II の発現を認めた。胃癌標本でのANNEXIN II の発現は104例中33例に認められ、臨床病理学的因子との検討では、分化型(pap、tub)が未分化型(por、sig、muc)に比べ陽性例が多かった。深達度では分化型において、より深達したものに陽性例が多かった。その他、n因子ではn(+)症例に陽性例が多く、生存率に関しては、陽性症例の予後は陰性例に比し有意に予後不良であった。(まとめ)1)ヒト胃癌細胞株においてANNEXIN II の発現を認めた。2)胃癌標本で、ANNEXIN II の陽性率は34%であり、組織型、深達度、n因子との相関が認められた。また、ANNEXIN II 陽性症例の予後は陰性例より不良であった。