ABSTRACT 2187(P11-1)
他臓器浸潤胃癌症例の検討:孝冨士喜久生、武田仁良、白水和雄(久留米大・外)
A study of carcinoma of the stomach with invasion to adjacent organs: Kikuo KOUFUJI, Jinryo TAKEDA, Kazuo SHIROUZU (Dept. of Surg., Kurume Univ. School of Med. )
[目的]他臓器浸潤(t4)胃癌を他臓器合併切除例(合切群)と非合併切除例(非合切群)に分けて検討するとともに長期生存例の特徴を明らかにする。[対象]1980年から1994年までに切除した胃癌総数1759例中t4例103例(合切群:56例、非合切群:47例)を対象とした。
[結果] 1. 浸潤臓器数 合切群は1臓器:49例、2臓器:5例、3臓器以上:2例、非合切群は1臓器:38例、2臓器:7例、3臓器以上:2例で、両群間に有意差はなかった。2. 浸潤部位 両群とも膵が最も多く、以下横行結腸間膜、横隔膜、肝の順であった。3. stage 合切群はIIIa:5例、IIIb:6例、IVa:10例、IVb:35例、非合切群はIIIa:2例、IIIb:4例、IVa:2例、IVb:39例で、合切群でIVbの頻度が有意に低かった(p<0.05)。4. 予後 5生率は合切群が22.6%、非合切群が9.5%で、合切群が有意に良好であった(p<0.05)。5. 長期(3年以上)生存例 合切群は12例、非合切群は4例で合切群が多かった。stageは、合切群がIIIa:2例、IIIb:3例、IVa:7例、IVb:1例でIVaが多かったが、非合切群ではIIIa:1例、IIIb:3例で、IVaはみられなかった。全例n2以下で、転移個数は14個以下であった。浸潤部位は、膵臓が8例、横行結腸間膜が7例、膵臓と肝臓の2臓器にみられたものが1例であった。
[結語]合切群は非合切群よりstage IVbが少なく、予後良好であった。長期生存例は、H0P0でn2以下であり、膵臓と横行結腸間膜浸潤例が多かった。