ABSTRACT 2192(P11-1)
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三木モデルによる胃リンパ流の考察:大山繁和,太田惠一朗,高橋 孝,中島聰總(癌研外科)

Understanding the lymphatic streams of the stomach by MiKi model:Shigekazu OHYAMA,Keiichiro OHTA, Takashi TAKAHASHI, Toshifusa NAKAJIMA (Dept. of Surg, Cancer Inst. Hosp.)

胃癌外科治療に際し、リンパ節の部位別転移頻度を知っていることは当然であるが、その転移経路を考慮しつつ郭清を進めることも重要である。われわれは、転移経路を脈管の発生モデル(三木)を用いて考察したので報告する。腸管の支配動脈は分節的に分枝し、A1:左胃動脈(多くは消失)、A2:左胃動脈と脾動脈、A3:右胃+肝動脈と胃十二指腸動脈(共通幹を形成し、総肝動脈となる)、A4+A5:上腸間膜動脈、A6以下が下腸間膜動脈と考える。各動脈の左右にリンパ経路が出来ると考えると、胃上部は左胃動脈/脾動脈に沿うリンパ経路、胃下部は総肝動脈の左右および上腸間膜動脈の左右に流れる経路が出来る。膵は上記2動脈の間へ移動し、膵の前面と後面にリンパ路が出来る。その結果、幽門下からは膵被膜下を経由して総肝動脈、腹腔動脈、脾動脈根へ達する総肝動脈左側経路と上腸間膜動脈の左側を経て大動脈周囲へ至る経路(上腸間膜動脈左側経路)が出来る。膵頭後面経路は、総肝動脈の右側経路と捉えられる。このような解釈が、実際のリンパ流と一致することを、術中リンパ管造影所見をもとに説明したい。