ABSTRACT 2193(P11-1)
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胃癌手術時の腹腔内洗浄癌細胞診の意義 : 藤本敏博, 高橋豊, 磨伊正義(金沢大・がん研・外)

Evaluation of the intraperitoneal cytological examination of gastric cancer : Toshihiro FUJIMOTO, Yutaka TAKAHASHI, Masayoshi MAI (Dept. of Surg., Cancer Res. Inst., Kanazawa Univ.)

胃癌手術時の腹腔内洗浄細胞診で癌細胞が陽性である症例を、どう治療すべきか考察するため、1981年から1992年までの12年間に術中細胞診を施行した182例を対象とし、細胞診陽性症例の特徴、術後成績等について、5年以上術後経過を観察して検討した。その結果、182例中61例 (33.5%) で、癌細胞が陽性であった。肉眼的に腹膜播種を認めない漿膜浸潤陽性の胃癌では、127例中15例 (11.8%) に細胞診で癌細胞が陽性であり、一方、腹膜播種を認めた55例中、癌細胞が陰性であったのは9例 (16.4%) であった。術後成績をみると、腹膜播種陽性では、細胞診での癌細胞の有無は生存率と関係がなかったが、腹膜播種がない症例では、細胞診が陽性の場合は陰性の場合と比較して、有意に術後成績が不良であった。しかし、細胞診陽性症例のうち、術中にMMC大量腹腔内洗浄およびOK-432大量腹腔内投与を行った2症例で、5年以上生存していた。つまり、癌細胞が腹膜に着床し腹膜播種を形成するのを防ぐ治療として、腹腔内免疫化学療法(MMC、OK-432投与)の有効性が示唆された症例が存在した。