ABSTRACT 2194(P11-1)
ニューラルネットワークを用いた胃癌患者の術後経時的予後予測に関する検討:熊澤伊和生,川口順敬,国枝克行,梅本敬夫,佐治重豊(岐阜大・医・2外)
Outcome prediction at different periods after surgery for gastric cancer patients using neural networks:Iwao KUMAZAWA,Yoshihiro KAWAGUCHI,Katsuyuki KUNIEDA,Takao UMEMOTO,Shigetoyo SAJI(Dept.of 2nd.Surg.,Gifu Univ.Hosp.)
【目的】予後予測の手法として階層型ニューラルネットワーク(以下,NN)を用いて,術後経時的における予後予測と予後因子の付加による精度向上の有無を検討した。【対象及び方法】1989.1.1から1993.5.1間に経験した胃癌切除症例のうち術後3年経過観察可能であった223例に対し,NNを用いて予後因子(壁深達度,リンパ節転移,肝転移,腹膜播種,リンパ節郭清,根治度の基本6因子と術前血中CEA,AFP,CA19-9,年齢,組織型,腫瘍径)の組み合わせによる術後6,12,18,24 及び30カ月時の予後と予測結果とを2×2分割表を用いて比較検討した。NNモデルは自家製の3層型NNを用い,Leave-one-out methodによる交差妥当性の検討を行い,過学習を防止した。
【結果】術後経時的の適中精度は術後12カ月で90.6%で最大となった(基本6因子でのモデルで,R2値=0.648,尤度比=23.8)。予後因子の付加による適中精度の向上は術後12 ,18,24カ月時点では認めず,基本6因子でのモデルが最大の適中精度であった(18カ月=86.1%,24カ月=83.9%)。しかし術後6カ月ではIAP値を付加したモデル(89.2% vs 88.3%)で,術後30カ月で組織型を付加したモデル(84.8% vs 83.4%)で基本6因子モデルより適中精度は向上した。
【結語】予後因子の付加により,術後時期によっては予測精度の向上が可能であった。このことから術後経時的に予後因子の重みの差がある可能性が示唆された。