ABSTRACT 2200(P11-1)
大腸癌におけるdThdPase活性と再発の検討:杉浦篤,恩田昌彦,田中宣威,古川清憲,高崎秀明,吉村和泰,瀬谷知子,山田岳史,高橋由至,小泉岐博(日本医大・1外)
Correlation between dThdPase activity and recurrence of human colorectal cancer: Atsushi SUGIURA, Masahiko ONDA, Noritake TANAKA, Kiyonori FURUKAWA, Hideaki TAKASAKI, Kazuyasu YOSHIMURA, Tomoko SEYA, Takeshi YAMADA, Yoshiyuki TAKAHASHI, Michihiro KOIZUMI (First Dept. of Surg., Nippon Med. Sch.)
<目的>大腸癌において血管新生因子であるdThdPaseの活性と再発との関係を検討した.<方法>治癒切除を施行した大腸癌46例の新鮮切除標本の癌部および正常大腸粘膜のdThdPase活性をELISA法にて定量し,術後再発と化学療法について18か月の追跡調査を行った.
<結果>1)再発症例のdThdPase活性は75.2±44.4で非再発症例の87.2±33.8よりも低かった.2)術後化学療法施行例のうち再発群のdThdPase活性は71.3±34.1で非再発群の89.2±33.5に比べ低かった.3)大腸癌組織と正常大腸粘膜のdThdPase活性値比を5.0で分けると,術後の化学療法を行うことにより5.0以上の症例では5.0未満の症例に比し,再発率が低下する傾向が認められた.4)化学療法で第1選択にCDDPまたは5ユ-DFURを投与した症例では18か月以内の再発は認められなかった.
<結語>以上の結果からdThdPase活性の高い症例では低い症例よりも化学療法が有効である可能性が示唆された.今後,症例数とともに,長期の追跡調査による検討が必要と思われた.