ABSTRACT 2202(P11-1)
下部直腸癌に対する至適側方リンパ節郭清の検討:河原秀次郎、平井勝也、青木照明(慈恵会医大・外)
Evaluation of rational lateral dissection for lower rectal cancer : Hidejirou KAWAHARA, Hirai KATSUYA, Teruaki AOKI (Dep. of Surg. , Jikei Univ. Sch. Med)
【目的】下部直腸癌のリンパ節転移の程度とそれに対するリンパ節郭清の効果より至適側方リンパ節郭清の程度を明らかにする。【対象】過去14年間に当教室で経験した下部直腸癌治癒切除症例で側方リンパ節郭清がexD2郭清とD3郭清が施行された171例を対象とした。exD2郭清とは側方にはD2郭清を行い、上方向にはD3郭清を行ったものである。【成績】壁深達度a1以上の121症例でexD2郭清群とD3郭清群の累積生存率を比較した。n(-)症例、n1のみ転移例、上方向のみn2(+)症例では2群間に有意差は認めらなかった。D3郭清群において側方向n2(+)群とn3(+)群を累積生存率で比較すると有意差はないが、2群における局所再発症例のn2-3にリンパ節外病変Extra Capsular Lesion(ECL)が高率に認められた。【結語】1)壁深達度a1以上の下部直腸癌に対する側方郭清は、まずD2郭清を行い、術中迅速診断にてn2-3(+)の場合に側方D3郭清を施行すべきである。2)n2-3にECLが伴った場合には治癒切除が可能であっても局所再発率が高いため放射線療法などの補助療法が必要である。