ABSTRACT 2206(P11-1)
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肺腺癌における年齢とp53蛋白発現,血管新生,増殖能の関連:近藤正道1,日高重和1,辻 孝1,七島篤志1,澤井照光1,安武 亨1,原 信介1,中越 亨1,綾部公懿1,田川 泰21長崎大・医・1外,2長崎大・医短)

Correlation of p53 expression, neovascularization and proliferation with aging in pulmonary adenocarcinoma: Masamichi KONDO1,Shigekazu HIDAKA1, Takashi TUJI1,Atushi NANASHIMA1, Terumitu SAWAI1,Toru YASUTAKE1, Shinsuke HARA1,Tohru NAKAGOE1, Hiroyoshi AYABE1, Yutaka TAGAWA2 (1first Dep. of Surg., Sch. of Med., 2Sch. of Allied Med.Sci.,Nagasaki Univ.)

(目的)肺腺癌におけるp53蛋白発現と血管新生、増殖能の関連を年齢別に比較検討した。(対象)肺腺癌症例は1974〜1996年に当科と佐世保市立総合病院で切除した40歳未満の20例、同時期に当科で切除した60〜69歳の無作為に抽出した48例、及び同75歳以上の全36例である。
(方法)抗PCNA抗体(PC10)、抗CD34抗体(NCL-END)、抗p53抗体(DO7)を一次抗体としてLSAB法で免疫染色を施行した。PCNAは1000個の構成細胞のlabeling index(L.I.)、microvessel count(M.C.)は腫瘍の辺縁部を200倍5視野測定した平均値を用い、p53は10%以上の陽性率の症例をp53(+)とした。
(結果)加齢とともにPCNA L.I.は42.0、36.0、33.1、M.C.も91.0、87.6、81.3と低下し、p53(+)の割合は30.0%、38.3%、50.0%と上昇した。p53(+)症例は40歳未満群でPCNA L.I.が 56.9、M.Cが108.8とp53(-)症例に比較して有意に上昇し(共にp<0.01)、予後不良であったが、この差は高年齢群になるにつれて消失した。
(考察)肺腺癌症例のp53蛋白発現による予後の相違には加齢による血管新生の反応性と増殖能の相違が背景にあることが示唆された。現在、VEGFも検討中であり併せて報告する。