ABSTRACT 2211(P11-1)
肝細胞癌切除例における、腫瘍血管内アクチン結合性蛋白”カルポニン”の発現と予後:
佐々木洋1,今岡真義1,石川治1,古河洋1, 甲利幸1,平塚正弘1,亀山雅男1, 南由里子1, 石黒信吾2, 山村倫子3, 高橋克仁3(1大阪成人セ・病・外, 2大阪成人セ・病・病理, 3大阪成人セ・研・循環生化)
The relationship between the expression of tumor vascular smooth muscle calponin and prognosis after surgery in patients with hepatocellular carcinoma : Yo SASAKI1, Shingi IMAOKA1, Osamu ISHIKAWA1, Hiroshi FURUKAWA1, Toshiyuki KABUTO1, Masahiro HIRATSUKA1, Masao KAMEYAMA1, Yuriko MINAMI1, Shingo ISHIGURO2, Noriko YAMAMURA3, Katsuhito TAKAHASHI3 (Dept.s of 1Surg., 2Pathol., 3Cardiovasc. Biochem., Osaka Med. Ctr. for Cancer and Cardiovasc. Dis.)
【目的、対象】肝細胞癌切除例78例を対象として、腫瘍血管壁の平滑筋に存在するアクチン結合性蛋白"カルポニン"の発現と予後をみた。【方法】1.抗カルポニンマウスモノクロナール抗体を用い、免染を行った。2. 陽性例と陰性例の癌部のカルポニンのmRNAの発現をRT-PCRによって比較検討した。【結果】1. 78例中30例(38%)が陽性(A群),48例(62%)が陰性(B群)であった。2. A群の3, 5年生存率97%、84%はB群の3, 5生率85%、58%に比し、良好であり( p=0.02)、3,5年無再発生存率においても、A群の 59%、44%は、B群の41%、34%に比し、良好であった(p=0.02 )。3. 予後因子の多変量解析の結果、TW、imと共に、カルポニンの染色性が予後に関与する独立因子となった。4. A群における癌部のカルポニンのmRNAの発現は、B群に比し、明らかに強かった。【結論】肝細胞癌において腫瘍血管のカルポニンの染色性は、有用な予後因子となり得る。