ABSTRACT 2215(P11-1)
VX2腫瘍の同所性移植モデルを用いた結腸癌リンパ節郭清と補助化学療法の基礎的検討:岡部 聡、新井健広、丸山祥司、李 宗成、村瀬尚哉、山下博典、岩井武尚(東京医歯大・第1外科)
Basic study on optimal method of lymph node dissection and adjuvant chemotherapy using VX2 tumor orthotopically transplanted in the sigmoid colon : Satoshi Okabe, Takehiro Arai, Shouji Maruyama, Munenari Lee, Naoya Murase, Hironori Yamashita, Takehisa Iwai ( 1st Dept. of Surg., Tokyo Medical and Dental University)
[目的]ウサギ結腸癌モデルを用いて至適なリンパ節郭清範囲と補助化学療法について検討する。[方法]当科で治癒切除術を施行されたS状結腸進行癌のうちで再発様式の明らかな115例を検討対象とした。これらの症例の各病期、リンパ節転移程度毎に累積5年生存率を算出した。さらに当科で大腸進行癌治癒切除例に術後早期に開始している全身化学療法の効果について検討を行った。術式は上方向D3リンパ節郭清を原則としているが、手術時に複数個のリンパ節転移を認めた症例についてはNo.216-b lat.の完全郭清を行った。また、基礎的研究としてウサギ可移植性扁平上皮癌VX2腫瘍1mm角をS状結腸腸間膜対側の漿膜下に移植し、その転移様式について経時的に検討した。[成績]臨床例の累積5年生存率はstage I:100%, stage II: 94%, stage IIIa: 87.3%, stage IIIb: 81.5%であった。再発症例は21例で全症例の18.6%であり、stageI:0%,II:7.8%,IIIa:35.5%,IIIb:30%でリンパ節転移陽性例で再発率が有意に高かった。再発様式は肝や肺などの血行性転移:15例、局所再発:4例、リンパ節再発:3例、腹膜播種:2例であった。リンパ節転移再発の3例はn1:1例、n2:2例で転移個数は平均5個、部位はいずれもNo.216b1-latであった。化療群は17症例であり、1年間のプロトコールを完遂できた12例は87.5%の5年健存率を示したのに対して不完全治療群の40%が再発した。基礎的検討については、VX2腫瘍の同所性移植後14PODには腫瘍は結腸壁全層に浸潤し、腸壁外の脈管侵襲も認められた。今後、リンパ節転移様式、郭清を伴う結腸切除術、更に抗癌剤投与の時期と再発・転移の関連性について検討を行う予定である。