ABSTRACT 2220(P12-2)
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ハタケシメジに含まれる抗腫瘍活性多糖の分離・精製とその構造:卯川裕一1,久松眞2,伊藤均31(株)永昌源・総合研究所,2三重大・生物資源,3三重大・医・薬理)

Fractionation and structure of antitumor polysaccharides from Hatakeshimeji,Lyophyllum decastes Sing : Yuuichi Ukawa1, Makoto Hisamatsu2 and Hitoshi Ito3 (1Central Research Lab.,Eishogen Co Ltd.,2Fac. Bioresources.,Mie Univ.,3Dept. of Pharmacol., Mie Univ. Sch.of Med.)

[目的]抗腫瘍活性を示す多糖体が、さまざまな食用キノコや薬用キノコから単離されている。最近、我々は、ホンシメジに近縁であり、人工栽培が可能となったシメジ属の食用キノコ、ハタケシメジ(学名 Lyophyllum decastes Sing)の子実体中にも強い抗腫瘍活性を示す物質が存在し、それが多糖であることを見出した。本研究では、熱水抽出される抗腫瘍活性多糖を分離・精製し、その構造研究を行った。
[方法と結果]熱水抽出物をQ-Sepharoseを用いたイオン交換クロマト、Toyopearl HW-55Sを用いたゲル濾過に供し数種類の多糖画分を精製した。いずれもQ-Sepharoseに吸着することから酸性多糖であり、多くのものはウロン酸を5〜13%含有していた。Sarcoma180固型ガンを移植したICR/Slc系マウス(5週齢、雌性)に、得られた多糖試料を腹腔内(i.p.)または経口(p.o.)投与し、その抑制率を測定したところ、いずれの画分もすぐれた抗腫瘍活性が認められ、中でもGlcが97%以上からなる分子量約30万の多糖は97.1%(10mg/kg,i.p.)の抗腫瘍活性が認められた。また、その他の多糖画分の構成糖を調べたところ、Glc,Gal, Man,Fucなどを含んでいた。現在、NMR分析および箱守法によって得られたメチル化糖のGC分析により多糖の構造について検討中である。