ABSTRACT 2225(P12-2)
新規抗腫瘍性ステロイド化合物アラグステロールA(YTA0040)の作用機序の検討:福岡和也1, 4,臼田実男1,山岸武弘2,市原智子2,中池司郎2,井口和男3,山田泰司3、成田亘啓4,西條長宏5,西尾和人1(1国立がんセ・研・薬効,2大正製薬・総合研,3東京薬大・化学,4奈良医大・2内,5国立がんセ・中央病)
Mechanism of action of Aragusterol A (YTA0040), a potent antitumor marine steroid: Kazuya FUKUOKA1, 4,Jituo USUDA1,Takehiro YAMAGISHI2,Tomoko ICHIHARA2, Shiro NAKAIKE2,Kazuo IGUCHI3,Yasuji YAMADA3, Nobuhiro NARITA4,Nagahiro SAIJO5,Kazuto NISHIO1 (1Pharmacology Div.,Natl.Cancer Ctr.Res.Inst.,2Res.Ctr., Taisho Pharm.Co.,Ltd.,3Tokyo Univ.of Pharmacy and Life Science,4Second Dept.of Int.Med., Nara Med.Univ.,5Natl. Cancer Ctr.Hosp.)
我々は、これまで海綿から単離されたシクロプロパン環を有する新規海産ステロイドであるアラグステロールA (YTA0040)が、in vitroおよびin vivoにおいて強い抗腫瘍効果を示し、核酸よりも蛋白合成を先に強く阻害することを報告してきた。今回は、ヒト肺癌細胞を用いてYTA0040の抗腫瘍効果のメカニズムを検討した。非小細胞肺癌細胞A549に0.1-10 μMのYTA0040を24時間接触した後の細胞周期をflow cytometeryで解析した結果、S期のpopulationの減少とG0/G1期への集積を認めた。G1期同調A549を用いた検討からも、YTA0040はG1からS期への移行を阻害した。YTA0040が細胞周期調節因子発現に及ぼす影響をWestern blot法にて検討した。YTA0040によりpRbの発現低下とリン酸化の抑制を認めた。p21の発現は誘導されず、p53の発現は低下した。Cyclin Aの発現はYTA0040の濃度依存性に低下した。以上より、YTA0040の抗腫瘍効果にはpRbやcyclin Aなどの細胞周期調節因子の発現抑制とそれに伴う細胞周期のG1からS期への移行阻害が関連している可能性が示唆された。