ABSTRACT 2227(P12-2)
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P-糖蛋白質阻害作用を示す日本産イチイ由来の新規タキサン化合物:繁森英幸1,小林淳一1,鶴尾 隆21北大院・薬,2東大・分生研)

New taxoids from Japanese yew inhibiting P-glycoprotein: Hideyuki SHIGEMORI1, Jun'ichi KOBAYASHI1, and Takashi TSURUO2 (1Grad. Sch. Pharm. Sci., Hokkaido Univ., 2Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo)

【目的】日本産イチイTaxus cuspidata Sieb. et Zucc. より単離したタキサン化合物ならびにその誘導体について、P-糖蛋白質阻害作用を調べた結果、いくつかの化合物に顕著な活性が認められたので、これらの化合物の構造と活性について報告する。
【方法および結果】T. cuspidataの枝部および種子の抽出物より単離した8種の新規タキサン化合物について、ヒト卵巣癌多剤耐性株2780AD細胞を用いてビンクリスチンの蓄積に対する影響を調べた結果、2種のタキサン化合物Taxezopidine GおよびHが、ベラパミルに匹敵するビンクリスチンの蓄積増強効果を示すことを見い出した。また、主成分Taxinineから誘導した種々の化合物のいくつかに同様の活性が認められた。さらに、同植物より単離したTaxuspine Cに、マウスを用いたin vivoの実験で耐性克服能が認められた。
【結論】新規タキサン化合物Taxezopidine G, H ならびにTaxinine誘導体に、ベラパミルに匹敵するP-糖蛋白質阻害作用が認められた。また、Taxuspine Cにはin vivoでの耐性克服作用が認められた。