ABSTRACT 2228(P12-2)
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Gnidimacrinの制癌作用におけるPKC beta IIの関与 : 吉田光二1,平家勇司1,西尾和人1,大野茂男2, 池川哲郎3,西條長宏11国立がんセ・研・薬効,2横浜市大・医・2生化,3金沢大・教育)

Involvement of PKC beta II in antiproliferating action of a new antitumor compound gnidimacrin : Mitsuzi YOSHIDA1,Yuji HEIKE1,Kazuto NISHIO1,Shigeo OHNO2,Tetsuro IKEKAWA3,Nagahiro SAIJO1(1Pharmacol. Div.,Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.,2Dept. Mol. Biol.,Yokohama City Univ. Sch. Med.,3Dept. Education,Kanazawa Univ.)

[目的]我々は、マウスに制癌効果を示し、ヒト癌細胞の増殖をピコモル濃度で抑制する新制癌剤グニディマクリン(GNM)を単離した。GNMは癌細胞の蛋白質リン酸化酵素(PKC)を活性化させ、cdk2活性を阻害して増殖をG1に停止させる働きがあることを報告した。GNM感受性のK562ヒト白血病細胞などではPKC beta IIの強い発現が見られることから、今回癌細胞のPKC beta II発現がGNM感受性に重要かどうかを検討した。
[方法]K562細胞にブライオスタチン1を 24時間処理、PKCをダウンレギュレートさせ、GNMへの感受性を検討した。GNMに耐性でPKC beta IIの発現していないHLE肝癌細胞にPKC alphaとbeta IIの発現ベクターを導入、PKCの発現とGNMへの感受性を比較検討した。
[結果]K562細胞のPKC alphaとbeta IIの発現はブライオスタチン1の濃度に依存してダウンレギュレートされ,それらの細胞はGNMに耐性を示すようになった。PKC alpha、beta II遺伝子を導入したトランスフェクタントの内、PKC beta IIを強く発現しているクローンにおいて有意なGNMによる細胞増殖抑制が見られ、発現量と感受性とで相関する結果が得られた。PKC alphaを強く発現しているクローンにおいては顕著な細胞増殖抑制は見られず、GNMは癌細胞のPKC beta IIに働き、細胞の増殖抑制に関与していることが示された。