ABSTRACT 2233(P12-2)
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ガゴメコンブ由来フコイダンのアゾキシメタン誘導腫瘍と移植ヒト大腸癌細胞に対する抗癌作用:于 福功、酒井武、加藤 郁之進(宝酒造)

Anti-tumor Activity of Fucoidan from K. crassifolia Miyabe against Azoxymethane-induced Tumor and Human Colon Cancer Xenografts: Fu-gong YU, Takeshi SAKAI, Ikunoshin KATO (Takara Shuzo)

[目的]我々はガゴメ昆布由来U-フコイダンが各種の培養ヒト癌細胞にアポトーシスを誘発することを解明した(1) 。本研究はフコイダンが実験動物に対しても抗癌活性を持つことを確認する目的で行った。
[方法](I)フコイダン液を34週間経口投与して、正常マウスへの影響を調べた。(II)マウス(ICR)にアゾキシメタンを15mg/kg/weekとなるように13週間皮下注射すると同時に、フコイダン液(4mg/ml)を52週間経口投与し、延命効果を調べた。(III)ヒト大腸癌細胞を移植したヌードマウスにフコイダンを4週間経口投与し、腫瘍成長抑制効果を調べた。
[結果](I)フコイダンは正常マウスの体重及び各種臓器に影響を及ぼさない。(II) 52週目にコントロールマウスの生存率及び発癌率はそれぞれ47%と93%であるのに対して、フコイダン投与グループはそれぞれ79%と84%であった。(III) 4週目にコントロールの腫瘍サイズはスタート時の11倍になったのに対して、フコイダン投与グループは3.5倍であった。
[考察]以上の結果から、フコイダンはアゾキシメタンで誘発したマウスの癌及びヌードマウスに移植したヒト大腸癌腫瘍に対して抗癌活性を持つことを解明した。これまで、免疫賦活によるフコイダンの抗癌作用は報告されていたが、今回、免疫系を経由しないフコイダンの抗癌作用も確認できた。
(1)于ら:第55回日本癌学会総会記事、P71、1996。