ポスターセッション

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嫌気的解糖系の抑制物質環状ポリ乳酸(CPL)の抗腫瘍作用−(第２報)ENUで誘発したマウス発癌に関する組織学的・生化学的検討：長戸康和^１、高田繁生^２、山村雅一^２、田島知郎^３(東海大・医・形態学^１、分子生命科学^２、外科^３)

The antitumor effect of cyclic polylactate(CPL), anaerobic glycolysis inhibitor−(2) Histological and biochemical study on mouse carcinogenesis induced by ENU : Yasukazu NAGATO¹, Shigeo TAKADA²,　Masaichi YAMAMURA², Tomoo TAJIMA³ (¹Dept. of morphol, ²Mol. Life Science. , ³surgery, Tokai Univ. Sch. of Med.）

【目的】環状ポリ乳酸（CPL）は、嫌気的解糖系の抑制効果を持つ物質であり、嫌気的解糖系に依存する癌細胞の活性阻害と増殖抑制効果が認められている。そこで今回、マウスの自然発生癌においてCPLの効果を検討した。【方法】4週齢のCBA/ＪマウスにENU投与後、CPLを隔日に腹腔投与し、11週目・18週目および23週目に安楽死させた。各個体から腫瘍組織を採取し、組織標本を作成するとともに酵素活性(HK・PFK・PK・LDH)を測定した。【結果】腫瘍組織：コントロール群の肺では、肺胞上皮細胞層の肥厚(肺胞上皮過形成)が広範囲に認められ、週齢に伴って腫瘍範囲は拡大した。しかしCPL投与群の腫瘍領域は、コントロール群に比べ顕著に限局的であり、週齢に伴う増加もわずかであった。酵素活性：CPL投与群の肺組織における嫌気的解糖系の酵素活性は、コントロール群に比べ有意に低下していた。【結語】CPLの嫌気的解糖系の抑制作用によって、マウスの自然発生癌の増殖が抑制された。つまり、嫌気的解糖系の抑制によるエネルギー産生やリン脂質合成能力の低下が自然発生癌の増殖抑制に効果があることが示唆された。