ABSTRACT 2241(P12-3)
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新規ベンズアミド系薬剤のヒストンデアセチラーゼ阻害活性:安藤知行1,土屋克敏1,深沢信幸1,齋藤明子2,山下俊2,鞠子幸泰2,中西理2,鶴尾隆3,,鈴木常司11三井化学・ライフサイエンス研、2三井製薬・生科研、3,東大・分生研)

Histone deacetylase inhibition of novel benzamide derivatives: Tomoyuki ANDO1, Katsutoshi TSUCHIYA1, Nobuyuki FUKAZAWA1, Akiko SAITO2, Takashi YAMASHITA2, Yukiyasu MARIKO2, Osamu NAKANISHI2, Takashi TSURUO3,, Tsuneji SUZUKI1 (1Life Sci. Lab., Mitsui Chem. Inc., 2Inst. Biol. Sci., Mitsui Pharm. Inc., 3,Inst. Mol. Cell Biol., Univ. Tokyo)

【目的】ヒストンデアセチラーゼ(HDA)は、ヒストンのアセチル化を調整し細胞周期をコントロールしており、その阻害剤が癌の分化を誘導し増殖を抑える事が知られている。酪酸ナトリウム(NaB)やトリコスタチンA(TSA)などがin vitroでの阻害剤として良く知られているが、in vivoで高い抗腫瘍活性を示すHDA阻害薬はなかった。そこで我々は、新規で高活性なHDA阻害作用を持つ化合物の創出を目指し研究を行った。【結果】ヒト癌細胞からHDAを部分精製し、その酵素を用いて様々な化合物を評価した。その結果、ベンズアミド系の化合物群が高いHDA阻害作用を示すことを見いだした。これらの化合物群はこれまで知られている阻害剤とは異なる骨格を持ち、構造的に限定された化合物のみが高活性を示した。また、それらの高活性化合物群は細胞内においてもヒストンの高アセチル化を引き起こした。さらに、白血病細胞K562や卵巣癌細胞A2780に対して分化を誘導した。このことから、我々の見いだした新規なベンズアミド系薬剤がHDA阻害作用に基づく新しい制癌剤となることが期待される。