ABSTRACT 2243(P12-3)
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新規ヒストンデアセチラーゼ阻害薬MS-27-275のヌードマウス移植ヒト癌に対する抗腫瘍効果:齋藤明子1、山下俊1、鞠子幸泰1、土屋克敏、安藤知行、鈴木常司、鶴尾隆、中西理11三井製薬・生科研、三井化学・ライフサイエンス研、3東大・分生研)

In vivo antitumor effect of a novel histone deacetylase inhibitor, MS-27-275, in tumor-bearing nude mice: Akiko SAITO1, Takashi YAMASHITA1, Yukiyasu MARIKO1, Katsutoshi TSUCHIYA2, Tomoyuki ANDO2, Tsuneji SUZUKI2, Takashi TSURUO3, Osamu NAKANISHI1 (1Inst. Biol. Sci., Mitsui Pharm. Inc., Life Sci. Lab., Mitsui Chem. Inc. 3Inst. Mol. Cell Biol., Univ. Tokyo)

【目的】HDA阻害薬は癌化学療法への応用が期待されているが、作用の弱さや体内動態の悪さなどから、これまでのところ満足なin vivoでの有効性は報告されていない。我々はこの欠点を補う新たなHDA阻害薬MS-27-275を見出し、ヌードマウスを用いてヒト癌株に対する効果を検討した。【結果】ヒト口腔癌1株、肺癌1株、胃癌2株、大腸癌2株、膵癌1株、卵巣癌1株の計8株について検討した。ヌードマウスへの腫瘍生着を確認後、0.1% Tween80に溶解したMS-27-275 6-49mg/kgを1日1回、5回/週x4週のスケジュールで経口投与した。8株のうち4株は高い感受性を示し(day 26のT/C=3-21%)、2株は中程度の感受性を示した(T/C=30-40%)。また大腸癌1株はほとんど感受性を示さなかった。低感受性の大腸癌株についてp21のシグナルの下流に位置するRbについて調べたところ、他の感受性株とは異なり、Rbのリン酸化の阻害は認められなかった。また、感受性スペクトラムは代謝拮抗剤5-FUとは異なっていた。以上の結果から、MS-27-275は経口投与可能な新規抗癌剤として有望であると考えられる。