ABSTRACT 2247(P12-3)
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TAC-101の肝細胞癌に対する抗腫瘍効果とその作用機序:村上孝司,佐野正樹,大家真治,山田雄次,済木育夫富山医科薬科大学・和漢薬研究所・病態生化学,大鵬薬品・創薬セ・第一がん研)

Anti-tumor activity of TAC-101 against hepatocellular carcinoma and its mechanism of action : Koji MURAKAMI1, Masaki SANO2, Shinji OHIE2, Yuji YAMADA2, Ikuo SAIKI1 ( 1Department of Pathogenic Biochemistry Institute for Wakan-yaku, Toyama Medical and Pharmaceutical University, 2Hanno Res. Center, Taiho Pharmaceutical Co., Ltd.)

〔目的〕 TAC-101はretinoic acid receptor(RAR)-α選択性を有し,肝転移モデル系において優れた抗腫瘍効果を示す化合物である.肝細胞癌ではRAR-αの発現増加が報告されていることから,本研究では肝細胞癌に対する抗腫瘍効果とその作用機序について検討したので報告する.
〔方法〕 1)ヒト肝細胞癌株JHH-4,5,7, HuH-7およびヒト正常肝細胞のRARs発現をRT-PCR法により解析した. 2)TAC-101の殺細胞効果をAm580, Am80(RAR-α selective)と比較した. 3)apoptosis誘導作用をDNA ladder法により判定した.4)JHH-7の浸潤能に対する抑制効果を検討した. 5)in vivoにおける増殖抑制効果または延命効果を検討した.
〔結果および結論〕肝細胞癌株ではRAR-αの発現がRAR-β, γに比べ増加していた.殺細胞活性はTAC-101>Am580>Am80であった.TAC-101 10μMの6h処理でJHH-7にapoptosisを誘導したが,正常肝細胞には誘導しなかった.また,TAC-101はHGFにより誘導されるJHH-7の浸潤を非殺細胞濃度で抑制した.In vivoでは移植肝細胞癌の肝内増殖を抑制し,JHH-7担癌マウスに対しては有意な延命効果を示した.TAC-101は消化器癌の肝転移抑制効果に加え,肝細胞癌の増殖,肝内転移抑制効果を有する新規抗癌剤である.