ABSTRACT 2249(P12-3)
新規エリプチシン誘導体T−215の抗腫瘍作用: 小田晃司、平啓史、杉川恵美子、蒲沼美智子、矢崎直子、小久保潮、細井健史、中西憲之、辻原健二、大橋元明(田辺製薬(株)創薬研究所)
Anitumor activity of T-215, a new ellipticine derivative, in mice and rats: Koji ODA, Takafumi TAIRA, Emiko SUGIKAWA, Michiko GAMANUMA, Naoko YAZAKI, Shio TSUNODA, Takeshi HOSOI, Noriyuki NAKANISHI, Kenji TSUJIHARA and Motoaki OHASHI (Dicorvery Research Lab. TANABE SEIYAKU Co. Ltd.)
エリプチシン誘導体はトポII 阻害作用を有する抗癌薬として知られている。我々は、9-hydroxy ellipticine (9HE)が変異型p53の燐酸化を阻害してG1期の細胞にアポトーシスを誘導することを本学会で報告してきたが、更に抗腫瘍作用の高い9HE誘導体を探索し、T-215を見出した。マウスまたはラットの皮下に移植した各種腫瘍に対しT-215は40-200mg/kg間歇または連続静脈内投与で対照薬の9HE、elliptinium、adriamycinに比べ高い抗腫瘍作用を示した。すなわち215はP388、L1210に対しILSが50-130%、sarcoma180、colon26および吉田肉腫に対するTumor growth inhibition(TGI)は100%であった。また、Lewis肺癌とB16 melanomaに対しそれぞれ5/5、2/5が治癒した。ヌードマウスに移植したMX-1、LX-1に対するTGIはそれぞれ82、72%であった。更に、vincristinおよびadriamycin耐性P388に対しても強い抗腫瘍作用を示した。T-215はトポII 阻害作用に加え変異型p53を介するG1期アポトーシス誘導作用により幅広い抗腫瘍スペクトルと高い抗腫瘍作用を示すと考えられた。