ABSTRACT 2251(P12-3)
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新規プロペノン誘導体AM-132の抗腫瘍効果についての検討:金澤純二, 三池曜子, 池田俊一, 秋永士朗, 岡部正実, 玉沖達也 (協和発酵・医薬総合研)

Antitumor activity of new propenone derivative, AM-132 : Junji KANAZAWA, Yoko MIIKE, Shun-ichi IKEDA, Shiro AKINAGA, Masami OKABE, Tatsuya TAMAOKI (Pharmaceutical Res. Inst., Kyowa Hakko)

AM-132はプロペノン骨格を有する新規分裂阻害剤であり、腫瘍壊死活性を示す点でユニークな特徴を持つ。今回、我々はAM-132の抗腫瘍活性および腫瘍壊死活性についてマウス腫瘍およびヌードマウス移植ヒト腫瘍を用い検討した。
【結果】 ヒトおよびマウス腫瘍12株(ヒト結腸癌:Co-3、DLD-1、HT-29、WiDr、卵巣癌:A2780、肺癌:Lu-99、乳癌:MX-1、胃癌:St-4、膵臓癌:PANC-1、類表皮癌:A431、マウス結腸癌:colon 26、肉腫:Meth A)を用い、AM-132の単回あるいは5日間静脈内投与での抗腫瘍活性および腫瘍壊死活性について検討した。AM-132は今回用いた12株すべての腫瘍で優れた抗腫瘍効果を示した。また、これら腫瘍の中ではMX-1乳癌、PANC-1膵癌、A431類表皮癌、colon 26結腸癌およびMethA肉腫で明らかな腫瘍壊死活性が観察された。なお、既存分裂阻害剤のtaxolはAM-132が腫瘍壊死を誘導したA431類表皮癌に対しAM-132と同等の抗腫瘍効果を示したが、腫瘍壊死は誘導せず、抗腫瘍効果の発現様式が異なることが示唆された。
【結語】 AM-132はマウスおよびヌードマウス移植ヒト腫瘍に対し幅広く有効であった。現在、確認されている作用機序はチュブリン重合阻害活性であるが、腫瘍壊死の誘導活性を有することから既存分裂阻害剤とは異なるユニークな抗癌剤としての可能性が期待される。