ABSTRACT 2279(P12-7)
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M期チェックポイント欠損株はDNAトポイソメラ−ゼII阻害剤,ICRF-193に抵抗性である:西田敬子、瀬戸加大、石田良司(愛知がんセ・研・化療)

Increased resistance of M phase checkpoint deficient cells to DNA topoisomerase II inhibitor, ICRF-193 : Keiko NISHIDA, Masao SETO, Ryoji ISHIDA(Lab. of Chemotherapy, Aichi Cancer Center Res. Inst.)

[目的]チェックポイントは細胞における種々の損傷を認識し細胞周期における進行を調節する生体の防御機構のひとつである。今回マウスBalb-3T3細胞より分離したM期チェックポイントの有無の細胞を用いて、M期のチェックポイントがM期の細胞を標的としているICRF-193感受性に影響するかどうかを調べた。
[方法]M期からG1期への進行はサイクリンB1の分解を指標にして測定した。細胞の生存率はコロニー形成またはMTS/PMS法で測定し、ICRF-193によるトポII活性の阻害はクランプ形成量により調べた。
[結果]M期チェックポイントの有無はコルセミド存在下でのDNA ploidyおよびICRF-193存在下でのM期の進行の遅延で確認した。分離したチェックポイントの有無細胞株におけるトポII量およびICRF-193によるトポII活性および染色体の分離の阻害程度には差がなかった。チェックポイントの欠損株はICRF-193の殺細胞作用にM期および非同調細胞において抵抗性であったが、トポI阻害剤には有細胞と同感受性であった。また染色体の不分離は必ずしも細胞死を誘導しないことが分かった。
[考察]M期チェックポイントの有無細胞のICRF-193に対する感受性の差はICRF-193の細胞内標的分子であるトポIIの量および質的相違でなく、染色体の不分離後の細胞死が誘導される過程における違い、おそらくM期チェックポイントの有無がその感受性の相違に関係していることが示唆された。