ABSTRACT 2282(P12-7)
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新規インドロカロバゾール系抗腫瘍剤J-107088の抗腫瘍活性とトポイソメラーゼI阻害機構:深澤和臣1、吉成智子1、原芳和1、松本真美2、西村暹11萬有製薬 ・ つくば研、2臨床医薬研)

Antitumor activity and topoisomerase I inhibition mechanism of new indolocarbazole, J-107088 : Kazuhiro FUKASAWA1, Tomoko YOSHINARI1, Yoshikazu HARA1, Mami MATSUMOTO2 and Susumu NISHIMURA1 (1Banyu Tsukuba Res. Inst., 2Meguro Clinical Development Inst.)

 新規インドロカロバゾール系抗腫瘍剤J-107088は、既存のTopo I阻害剤であるNB-506やCamptothecinよりも強く、トポイソメラーゼI(Topo I)依存性の一本鎖DNA切断を誘導した。一方、 J-107088はトポイソメラーゼII依存性の二本鎖DNA切断を誘導しなかったことから、 NB-506およびCamptothecinと同様にTopo Iに選択的な阻害剤であることが示された。これまでに、NB-506とCamptothecinのTopo I依存性DNA切断における塩基配列選択性が異なることが知られているが、J-107088はNB-506と非常に良く似た塩基配列選択性を示した。また、無細胞系においてJ-107088はNB-506、TopotecanやCamptothecinよりも強く、Topo IによるDNAリライゲーション反応を阻害した。そして、その結果非常に安定なDNA-Topo I複合体(Cleavable complex)を誘導することが示された。そして、J-107088により誘導されたCleavable complexは、薬剤除去後の細胞内においても非常に高い安定性を示した。さらに、NB-506が細胞周期に依存した殺細胞様式を示したのに対して、J-107088は細胞周期非依存的な様式を示した。これらの結果よりJ-107088はNB-506やCamptothecinとは異なる性質を持ったtopo-I阻害剤であることが示された。