ABSTRACT 2283(P12-7)
新規Chartreusin誘導体IST-622のtopoisomerase I および II 阻害作用:宮田敬三1, 湯木俊次1, 川越智子1, 加藤雅也1, 田代田鶴子2, 鶴尾 隆2, 塚越 茂2 (1石原産業・中研, 2癌研・癌化療セ)
Inhibitory effects of IST-622, a novel derivative of Chartreusin, on DNA topoisomerase Iand II: Keizo MIYATA1, Shunji YUKI1, Tomoko KAWAGOE1, Masanari KATO1, Tazuko TASHIRO2, Takashi TSURUO2, and Shigeru TSUKAGOSHI2 (1Cent. Res. Inst., Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd., 2Cancer Chemother. Center, Jpn. Found. Cancer Res.)
【目的】IST-622は新規構造を有する経口型抗癌剤であり、現在、前期臨床第II相試験が実施されている。これまでに、本剤はDNAのCG/GC配列に選択的に結合することを特徴とし、topoisomeraseII(TOPOII)のunknotting活性およびdecatenation活性を阻害すること、更にTOPOII/DNA複合体の安定化作用を有することが明らかとなっている。今回はtopoisomerase I(TOPO I)に注目し、DNA複合体の安定化作用について検討したので報告する。【方法】IST-622の代謝活性体であるA-132およびA-132MのTOPO I/DNA複合体安定化作用について、抗ヒトTOPO I抗体を用いたimmunoblot法を用いて検討した (HT-1080およびKB細胞を使用)。比較対照剤としてはcamptothecin (CPT)を用いた。【結果】A-132およびA-132Mは10 μMの濃度で30分間細胞処理した場合、何れの細胞に於いてもDNAフラクションのTOPO I活性を増大させた。その程度は同等の細胞感受性を示す1 μMのCPT処理に比して若干弱いものの、IST-622のTOPO I/DNA複合体安定化作用を十分説明し得るものであった。【結語】IST-622は、TOPO IおよびTOPOII両酵素のDNA複合体安定化作用を介して殺細胞性を発現するdual inhibitorである可能性が示唆された。