ABSTRACT 2285(P12-7)
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リコンビナント蛋白質を用いたヒト・トポイソメラーゼIIαの機能領域、及び薬剤耐性機構の解析:加藤誠之、金丸龍之介(東北大・加齢研・癌化学療法)

Analysis of human topoisomerase IIa functional domain and it's contribution to the drug resistance : Satoshi Kato,Ryunosuke Kanamaru, Dept.of Clinical Oncology, Inst. Devlopment Aging & Cancer(IDAC), Tohoku Univ.

 トポイソメラーゼ(以下トポ)はDNAのトポロジーを変化させることで、複製、転写、染色体分配などに関与し細胞増殖に必須の酵素である。また、ヒト・トポIIαは、アドリアマイシンやエトポシドに代表される抗癌剤の分子標的として、より有効な薬剤を開発し、耐性を克服するという目的でも研究が進められている。
 トポイソメラーゼを標的とした薬剤の耐性機構としては、MDRによる薬剤の細胞外への排出、トポII蛋白質の発現量の低下、或いはトポ蛋白質分子内の欠失や変異が報告されている。
 我々は上記の第3の点、すなわちトポIIの欠失、変異が機能にどのようにして影響を及ぼしているのか、また機能変化がいかにして薬剤耐性に関与しているのかに興味をもち研究を進めてきた。C末端領域の欠失については、出芽酵母内でGFP融合蛋白質を発現させることにより、核移行が障害される現象を解析し報告した。一方、トポII分子の変異については、これまで散発的に耐性に関与すると思われるアミノ酸置換を伴う変異が報告されており、変異が集中している部位も認められるが、その意義については定説に至っていない。我々は、変異が集中する部位の機能を解析することによって、薬剤耐性機構に迫れるのではないかと考えている。
 さて、実際トポIIを生化学的に解析する上での問題は、トポII蛋白質の大量精製が困難で、かつ非常に失活しやすいことである。そこで大腸菌を用いたトポII蛋白質発現系を構築し、リコンビナント蛋白質を用いてトポIIの各々の部位の機能解析を試みている。今回はこの系を用いて、興味ある知見を得たのでそれを報告する。