ABSTRACT 2287(P12-7)
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1-n-Alkylcarbamoyl-5-fluorouracil(ACFU)のヒトDNAトポイソメラーゼ I の阻害:石田潤, 安藤俊夫(創価大・工)

Inhibition of human DNA topoisomerase I by 1-n- Alkylcarbamoyl-5-fluorouracil: Jun ISHIDA,Toshiwo ANDOH (Faculty of Engineering, Soka Univ.)

【目的】多くの5-fluorouracil(5-FU)のマスク化合物が合成され抗癌剤として使用されている。その中の一つに1-Hexylcarbamoyl-5-fluorouracil(HCFU)がある。HCFUはDNAトポイソメラーゼ I(トポ I)の弱い阻害活性を示した。そこで我々はアルキル基の炭素数を変化させた誘導体のトポ I 阻害活性を調べた。またトポ I の触媒阻害型抗癌剤を開発する目的で活性の強いACFUのin vitroとin vivoにおける作用機構を検討した。【方法】ヒトトポ I はバキュロウイルス発現系を用いて調製した。supercoiled DNAのrelaxation活性及びcleavable complex(CC)形成活性でトポ I の活性測定を、キネトプラストDNA(kDNA)のdecatenation活性でトポ II の活性測定を行った。また、これらの反応においてCPTとの競合反応を調べた。【結果】1. これらの化合物はトポ II を阻害せずトポ I のみを阻害した。2. 炭素数が多くなるほどトポ I 阻害活性が強く、C16でIC50値は4.7 μMであった。3. ACFUはCC形成を誘導せず、触媒活性のみを阻害した。4. ACFUはトポ I 依存的にCPTにより誘導されるCC形成を阻害した。5. ACFUはYeastにおいてCPTによる細胞死を抑制した。【結論】ACFUはDNA鎖切断を誘導することなく、CPTとは異なるトポ I の部位を介して、触媒活性のみを阻害する薬剤である。また、in vivoでもトポ I を阻害する可能性が予想される。