ABSTRACT 2307(P12-11)
Bax過剰発現と化学療法剤に対する感受性増強:小林 透、沢 秀彦、珠玖 洋(三重大・医・2内)
Overexpression of Bax and enhancement of anticancer drug-induced apoptosis: Tohru KOBAYASHI, Hidehiko Sawa, Hiroshi SHIKU (2nd Dept. Int. Med. Mie Univ. Sch. Med.)
[目的] Bax発現ベクターを安定導入した各種細胞株を樹立し、種々の抗癌剤に対する感受性について検討を加えた。[材料並びに方法] Bax, Bcl-2 expression vector, control vector(pCI-neo)を各種細胞株にelectroporationまたはlipofectamineにて遺伝子導入しG418添加にて4週間培養して安定導入株を樹立し、種々の抗癌剤に対する感受性を検討した。apoptosisはannexin V-FITCなどで検索した。
[結果] Bax発現ベクター安定導入血液細胞K562ではadriamycin, SN-38, ara-C処理にて有意に高いannexin V陽性率を示し、etoposide処理ではcontrol vecter安定導入細胞と有意差を認めなかった。 Bcl-2発現ベクター安定導入K562細胞ではadriamycin, SN-38, ara-C, etoposideいずれの処理でもcontrol vecter導入細胞より有意に低いannexin V陽性率を示した。消化器癌細胞株KATOIII, COLO320などでも安定導入株が得られており、同様の検討を行っている。
[結語] 化学療法剤の種類によりBax過剰発現で感受性が高まるものと変化しないものが存在することが示された。Bax遺伝子の遺伝子治療への応用を指向する上で有用な知見と考えられる。