ABSTRACT 2308(P12-11)
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Adriamycinによる細胞死誘導機構におけるp53、p21、bax、bcl-2、Fas/FasLの役割の検討:小林正伸、長祐子、王景信、守内哲也、細川真澄男北大・医・癌研病理、癌研細胞制御)

Study on the roles of p53, p21, bax, bcl-2, and Fas/FasL in adriamycin-induced apoptosis: Masanobu KOBAYASHI1, Yuko CHO1, Jingxin WANG1, Tetsuya MORIUCHI2, and Masuo HOSOKAWA1 (1Lab. of Pathol., 2Lab. of Cell Biol., Cancer Inst., Hokkaido Univ. Sch. of Med.)

【目的】抗癌剤のアポトーシス誘導におけるp53、p21、 bax、bcl-2、Fas/FasLの役割を検討するために、adriamycin(ADM)処理後それらの経時的変化を検討した。
【材料と方法】(1)p53の変異は、yeast functional assay およびdirect sequencingによって検討した。(2)Jurkat、ATL-2、SALT-3、EDSとそのADM耐性株SALT-3/ADM、ATL-2/ADMを用いた。(3)p53、p21、bax、bcl-2はwestern blotにて検討した。(4)Fas/FasLの発現とCell cycleはFACSにて検討した。
【結果】Jurkat、EDSはmutated p53で、その他のcell lineではwild-type p53であった。(2)ADMのIC50値は、ATL-2/ADM>SALT-3/ADM>ATL-2>SALT-3>EDS>Jurkatの順に高かった。(3)IC50値のADM処理で、EDS、SALT-3、SALT-3/ADMいずれにおいてもp53、baxが誘導された。(4)p21はSALT-3、SALT-3/ADMでは誘導され、EDSでは誘導されなかった。(5)SALT-3、SALT-3/ADMではG1およびG2/M arrestが、EDSではG2/M arrestのみが観察された。(6)IC50値の10倍量のADMで処理するとbax、p21の誘導は不明瞭となった。(7)SALT-3、SALT-3/ADMではADM処理後Fasが増強するが、FASLの発現増強は観察されなかった。
【考案】ADMによるアポトーシス誘導にp53、p21、bax、Fas/FasLの発現増強は必ずしも必須ではなかった。