ABSTRACT 2309(P12-11)
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グルココルチコイドによる t(8;21) 急性骨髄性白血病細胞に対するアポトーシスの誘導: 1山 口 ゆり、2新津 望、1本間 良夫(1埼玉がんセ・研、2東邦大・医・1内)

Glucocorticoids induce apoptosis in acute myeloid leukemia cell lines with a t(8;21) chromosome translocation: 1Yuri YAMAGUCHI, 2Nozomi NIITSU, 1Yoshio HONMA (1Saitama Cancer Ctr. Res. Inst. 21st. Dept. of Int. Med., Toho Univ. Sch. of Med.)

<目的> t(8;21)急性骨髄性白血病由来のKasumi-1やSKNO-1細胞株は、dimethyl sulfoxideやretinoic acid, 1α,25-dihydroxyvitamin D3,butyrate, TPAなどの処理では分化しなかったが、dexamethasoneの処理によって増殖が著しく抑制された。しかし、dexamethasoneは他のヒト骨髄性白血病細胞株HL-60やU937、K562の増殖は抑制しなかった。今回は、この増殖抑制機構について検討した。
<方法> 細胞にdexamethasoneを添加して培養後、MTT assay, 形態変化、DNA fragmentationによってアポトーシスの有無を観察した。また、アポトーシス初期に認められるミトコンドリアの蛋白質Apo2.7の発現をフローサイトメーターで解析した。さらに、蛍光基質を用いてcaspase 活性を、Western blottingやRT-PCRでBcl-2の発現を検討した。
<結果> dexamethasoneは10-8Mの濃度でKasumi-1やSKNO-1細胞の増殖を抑制した。処理後24時間で核の濃縮や核の断片化、DNA fragmentation、Apo2.7の発現が観察され、dexamethasoneがアポトーシスを誘導して増殖を阻害することが判明した。また、caspase-3様プロテアーゼの活性化が顕著に認められたが、caspase-1様およびcaspase-6様プロテアーゼの活性に変化はなかった。活性化に伴うcaspase-3プロテアーゼの限定分解も観察された。Bcl-2の発現はmRNAレベルにおいても蛋白質レベルにおいても変化は無かった。