ABSTRACT 2311(P12-11)
術前フルオロウラシル系薬剤投与によるアポトーシス誘導の有無:伏田幸夫、米村 豊、坂東悦朗、谷口桂三、藤村 隆、西村元一、三輪晃一(金沢大・二外)
Apoptotic cell death in gastrointestinal tumors induced by preoperative administration of fluorouracil.: Sachio FUSHIDA, Yutaka YONEMURA, Etsuro BANDOU, Keizou TANIGUCHI, Takashi FUJIMURA, Gen-ichi NISHIMURA, Koichi MIWA (2nd. Dept. of Surgery, Kanazawa Univ.)
【目的】Adjuvant chemotherapyでのフルオロウラシル系薬剤の抗腫瘍効果の有無を判定することは臨床上困難であり、in vitroでの感受性試験に依存していることが現状である。そこで今回、in vivoの感受性試験としてフルオロウラシル系薬剤を術前に投与し、アポトーシス誘導の有無より効果判定を行った。【対象】胃癌12例、大腸・直腸癌8例をもちいた。【方法】術前内視鏡検査にて癌組織を採取後、フルオロウラシル系薬剤を投与し、手術施行。切除標本にて組織学的効果判定をするとともにTUNEL法にてアポトーシス誘導の有無を検出した。また、投与前後におけるp53、bcl-2、bax遺伝子およびthymidylate synthase (TS)の発現の変化を免疫組織学的に判定し、組織学的効果およびアポトーシスとの関係を検討した。【結果】20例中3例(15%)に肉眼的に腫瘍の縮小を、8例(40%)に組織学的抗腫瘍効果を、9例(45%)にアポトーシスの誘導を認めた。このうち、組織学的効果を認めずアポトーシスが誘導された症例を4例(20%)に認めた。また、野性型p53腫瘍8例中7例(87.5%)にアポトーシスの誘導が認められたが、bcl-2、bax、TSの発現とアポトーシスの誘導に相関は認められなかった。【結語】術前にフルオロウラシル系薬剤を投与し、その抗腫瘍効果を従来の組織学的判定に加え、アポトーシス誘導の有無も考慮することでadjuvant chemotherapyに使用する薬剤選択のよい指標になると思われた。