ABSTRACT 2313(P12-11)
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イノスタマイシンで誘導されるアポトーシスにおけるプロテインキナーゼCの抑制作用:川谷誠、清水史郎、梅澤一夫、井本正哉(慶大・理工・応化)

Suppression of inostamycin-induced apoptosis by protein kinase C in small cell lung carcinoma cells: Makoto KAWATANI, Siro SIMIZU, Kazuo UMEZAWA, Masaya IMOTO (Dept. Applied Chem., Fac. Sci. Tech., Keio Univ.)

[目的]我々は既に、種々の抗癌剤によるアポトーシスが共通して過酸化水素によってメディエートされており、この過酸化水素生成はcaspase-3によって抑制されていることを報告した。しかし、これら抗癌剤のcaspase-3活性化機構については不明な点が多いのが現状である。そこで本研究では、抗癌剤のアポトーシス誘導過程におけるプロテインキナーゼの関与を検討した。
[方法と結果]ヒト小細胞肺癌Ms-1細胞にTPAもしくはフォルスコリンの存在下で種々の抗癌剤により誘導されるアポトーシスをトリパンブルー法で検討したところ、PI代謝回転阻害剤であるイノスタマイシンによって誘導されるアポトーシスが、TPA添加によって抑制された。また、TPA16時間前処理によりprotein kinase C(PKC)をdown regulationさせた細胞や、PKCの阻害剤であるカルフォスチンC処理した細胞では、イノスタマイシンで誘導されるアポトーシスが促進した。さらに、イノスタマイシンによるcaspase-3の活性化はTPA処理により阻害され、このTPAによる阻害はカルフォスチンCの存在下でキャンセルされた。しかし、TPAはアドリアマイシンなどの抗癌剤によるcaspase-3の活性化やアポトーシス誘導を阻害しなかった。
[結果]PKCはイノスタマイシンによるcaspase-3の活性化を抑制的に制御し、アポトーシス誘導を阻害していることが示唆された。